“ 伽藍堂 Garaando ”

〜 さかうしけいこ が語る東洋医学の世界 〜

はじめまして

そして、ようこそ!  “ 伽藍堂 ” へ

 

 私が治療家の世界に入って、はや25年の月日が経ちました。

 出会いのはじめより、圧倒的なスケールの大きさで私をトリコにした東洋医学は、いまだ私を魅了しつづけています。この医学の哲学には、細部に向かう分析的なベクトルがありません。ベクトルがないのだから、数値に還元されることも、他者と比較されるデータもない。矛盾だらけの人間をまるごと見つめる大らかで温かなまなざし。本来、医療の原点は、ここにあったのではないでしょうか。

 ハリとの出会いによってはじまった私の東洋医学をめぐる旅は、いまだ途上であり、このまま治療だけに埋没していきたいとさえ思っていました。あの時までは。

 

 2011年3月11日の震災とその後の原発事故によって起こったことの大きさを前に、自分自身のあり方や生き方、そして治療家として伝えられることなどを模索し、やっとのことでこのブログを立ち上げる決意をしました。

 

 今にして思えば、そう、311のずっと前からもこの世界に対して、違和感を感じつづけていたのだと思います。医療という名を借りた過剰な経済活動の裏で、あらゆる症状につけられる新しい病名といっこうに減らない病気。それどころか増え続けるガン。恐ろしい感染症。アレルギーをはじめとする膠原病、そして心の病。はたまた医原病。さらには驚くほど多い認知症。医学が発達したとして、はたして病気は減っているのだろうか。薬は治療に役立っているのだろうか。そして、人は本当に治りたいと思っているのか。その先に夢は、希望は、あるのだろうかと、よく自問していました。

 

 昨年から私は、東京と北海道の2重生活をはじめ、フットワークを軽くして新たな時代を進んでいくことにしました。今まで、本当に多くの方たち(延べ3万人超)の人生の断片を見せていただきました。それらは私のきらめく宝物であり、そのかけがえのない経験を通して私が学んだことを、ここに綴ります。地方へ移住した患者さんたちとつながるために。今までご縁があった実に多くの方たちに伝えつづけるために。また書くことによって変わっていくであろう自分自身のために。そして、まだ見知らぬあなたに、安らぎや新たな視点を提供できたら、こんな嬉しいことはありません。