“ 伽藍堂 Garaando ”

〜 さかうしけいこ が語る東洋医学の世界 〜

勝手に陰陽論15 陰極まりて陽、陽極まりて陰

街を移動していると気がつく事がある。 「足先がドアに挟まれないように注意」。電車内でドアに張られていた標語が目に止まった。 その上には「戸袋に注意」という表示がある。実際に子供が腕を挟まれているのを見たことがあるので、危険なのだなぁと思うよ…

東洋医学各論6 津液(しんえき)

至福の時といえば、みな様にはどんな経験がおありだろうか。 私にとってのそれは、メキシコへ旅した時でのこと。 マングローブの林が生い茂る水面。ひとたび何かを浸してみれば、どんな物でも中身まで透き通ってしまいそうな、そんな限りなく透明な薄いグリ…

東洋医学概論5 虚実

「あなたを花にたとえて、その絵を書きなさい。」 これは、私が入学したいと思った学校の申請書に書かれていた一文である。エネルギーワークを学ぶため、日本で8年ほど通った学校の。 困った。。好きな花はいろいろあれど、自分がどんな花かなんて考えたこ…

東洋医学各論5 肝

春になると肝臓が動きだす。 草木が芽吹きだし、小さな蕾が膨らみだすように。 冬眠していた動物たちが目覚めるように。 エネルギーを貯蔵する性質を持ち、冬に活躍する腎。その腎から、伸びやかに拡がる力を持つ肝へとバトンが渡された。 季節のめぐりに呼…

雑考

小学生か中学生の頃に、考えていたことがある。 私が育った小樽の街では、市内の一定の区域内に住んでいる子供達が同じ小学校に通い、そこでクラス分けされる。小学校は確か1学年5クラス。1クラスでは男子が女子より少し人数が多い。私の学年だけではなく…

気!流れる身体1 腕

アンティークな円錐ドーム型の鳥カゴを想像していただけるだろうか。 私は即座に、背骨と胸椎と左右12本ずつあるあばら骨とが接合してできる人体の骨格、すなわち胸郭を思い描く。内臓を納めて保護する、そんな場を作るための胸郭を。 今回は、この骨ででき…

勝手に陰陽論14 ダウンサイズ

どこか知らない国へ行ってみたい。 子供の頃から、そう思っていた。 最初に訪れたのは中国。トイレットペーパーの芯を抜いて潰しては、ペーパーのカサを小さくしてスーツケースに押し込み持参した。北京の語学学校に通いながら、そこを拠点に時々旅に出る。 …

勝手に陰陽論13−1 目からウロコが落ちる

時々、ピタッとハマる言葉のすばらしさに驚くことがある。 「目からウロコが落ちる」という表現もそのひとつ。 調べてみると英語にもあった!「The scales fall from the one's eyes」というらしい。 お国を問わずに存在する「目からウロコが落ちる」という…

勝手に陰陽論12 豆腐と太平洋

冬を迎え鍋料理の美味しい季節がやってきた。 湯豆腐を作るため土鍋に豆腐を入れて煮えるのを待つ時、たまに思い出すことがある。 あれは、私が精神科医であるS医師のもとに足しげく通っていた頃の話だ。フロイトに詳しいS先生が話された内容のいくつかを、…

ハリ様への道2 出会い

人生を変えてしまう力を持つ出会い。 その出会いには、いくつかのタイプがあるように思う。 まずは、出会いのはじめからピンとくる場合。ピンッ!てね。 あるいは後になって、予期せぬその影響の大きさに驚きつつ、カウンターパンチのようにしみじみとじんわ…

勝手に陰陽論11 トリッキーな身体感覚 ほてり

身近な健康法である入浴。 昨今のシャワー派の台頭を聞くにつけ、私は入浴の恩恵について日々研究している。その成果もあって、体感で大体のお湯の温度がわかるようになった。ま、あってもなくてもいい能力だけどね。 それにしても先日はいったお風呂は、熱…

東洋医学概論4 身体感覚を開く

あなたの座右の銘は何ですか? そう聞かれた時を夢みて、わが座右の銘を決めてみた。かけだし鍼灸師時代の25年以上も前のことだ。その後ずっーと今の今に至るまで、ただの一度も誰からも聞かれたことがないです、ハイ。 私の座右の銘は「押してもダメならひ…

勝手に陰陽論10 内と外

ここ数ヶ月、制服姿の学生で占められる長蛇の列が日に日にのびる店がある。 タピオカドリンクの販売店だ。 タピオカとは、熱帯地方で栽培されるイモの一種であるキャッサバを原料とし、その根茎から作ったデンプンのこと。 流行りに乗っているのは、真珠大で…

勝手に陰陽論9 黒

わが故郷、小樽。その小樽へ帰る楽しみのひとつに、余市にあるゲストハウス「はれるや 」さんで開かれるバーベキューパーティがある。 はれるやのママさんをはじめ、プロの料理人たちによる選りすぐりの食材の、素材を生かした粋な品々。そして惜しげなくバ…

東洋医学各論4 腎2(腎精)

友人からローズオイルをいただいた。 数多のバラの中でも「香りの女王」と呼ばれるダマスクローズの精油を。 フタを回してみると、一瞬にして視界に鮮やかなピンク色のバラ園が広がる。 柔らかくも包み込むように芳香を放つオイル。 この1mlを蒸留抽出するの…

勝手に陰陽論8 繋がりあう世界

信じる力。 それはしばしば現実を変えてしまう。 今回は、その具体例をご紹介したい。 それは偽薬(ニセグスリ)。 これを飲んで得られる効果をプラシーボ(プラセボ)効果と呼ぶ。 砂糖でできたアメ玉であっても、この病気の特効薬だと信じて飲んだ場合、ホ…

東洋医学各論3 腎

春が来た。(来たの?本当に?異常に寒い。。2019年4月末@東京) 北国では雪がとけ、長い冬を土中で過ごした種子や球根が芽吹いて花を咲かせる季節が、また巡ってきた。 さて、このタネのように生命体のエッセンスを内包している臓器が、我らの身体にもある…

勝手に陰陽論7 ハーモニー

さる雛祭りの日に、大好きな大好きな友人の偲ぶ会に参列させていただいた。 傑出したアーティストだった彼女らしさが溢れる素晴らしい会で、準備された方々の愛情の深さにも感銘を受けた。49日を経てもなお出席者の多くの方達が大泣きし、互いに彼女のかけが…

勝手に陰陽論6 更年期

なつかしいネーミング、「イノチのハハA」。 それは、ずいぶん昔にテレビCMから何度も聞こえてきた不思議なヒビキ。 いつ頃からなのか、いつまで聞いていたのかもはっきりしないが、音としてしっかり私の耳に残っている。薬なんだ。。とウスラボンヤリ思って…

勝手に陰陽論5 根底に流れるもの(万物流転)

いまや年中スーパーの陳列棚に並ぶバナナ。 むきながら食べられて、栄養価もあり腹持ちもよい。 そのため子供はもとより、お年寄りや運動選手にも人気の果物といえる。 木にのぼって最初にバナナを食べた人は、偉いと思う。 たぶん猿が食べているのを見て真…

勝手に陰陽論4 ウルシ塗り2

夢を追いかける。 私の周りには、そんな友人達がいる。 年齢や時間、そしてお金を言い訳にするどころか、楽しんで挑戦している風情が漂よう。 その中の一人に、英語を勉強している人がいる。壮大な夢のために必要だという。そして私は、彼の学習の仕方に脱帽…

勝手に陰陽論3 ウルシ塗り

日本を代表する工芸品の漆器、ウルシ塗り。それゆえ、英語の「japan」には「ウルシ」の意味があるという。 ウルシの木から採れる樹液を、加工した木や紙に塗り重ね、30から40の工程を経て漆器に仕上げていく。 何度も何度も塗り重ねて作られる漆塗りの技法の…

勝手に陰陽論2 Doing と Being

時折思い出すのは、あのセリフ。 鍼灸師になりたての頃、研修先の先生がおっしゃっていた言葉だ。 「体の弱い患者さんに元気になってもらうのは割と簡単だが、次々に行動する人を休ませることは実に難しい」と。 本当に、そう思う。 比較的体力のある方が不…

勝手に陰陽論1 グラウンディング

あの時は、何もわかっていなかった。 あの時。そう、鍼灸学校の初老の先生が、治療院を開く心得を卒業間近の私達学生に話した時のことだ。 「とにかく3年だ。患者さんが来なくても、3年間毎日ジッと治療院を開きつづけ、待つことさえできれば、食べていけ…

緊急告知 セルフケア2 ヒエトリ道

こんな夏は、はじめてだ。 多くの患者さん達が、こう語る今年の猛暑(2018年@東京)。 皆様のお身体を診せていただいている私は、日ごと危機感がつのる。 この夏の患者さん達の身体の固まり具合は、ハンパないから。 まるで石像のよう。。 そして今の期間を…

東洋医学各論2 陰陽の本質(男女編、両親からの考察)

彼は、元旦になると決まってこう言う。 「今年こそは、新聞の置き場所を決めて、読んだら必ずそこに置くことにしよう!」と。 彼、わが父。90歳。 このセリフを聞いた母と私は、目配せしながら無言の会話をする。 「年頭の決意が、新聞の置き場所とは!小…

東洋医学概論3 (陰陽論:宮沢賢治の世界から)

机の上に一冊の本がある。 友人が長い年月をかけて制作にかかわり、私に送ってくれたものだ。 表題は「宮沢賢治の元素図鑑」(桜井弘著、豊遥秋写真協力 / (株)化学同人)。 賢治は、幼い頃に「石っこ賢さん」とよばれたほどの石好きで、植物や昆虫を採集しな…

間(マ)をつなぐもの 「人生が変わるメガネ」

憧れのメガネをとうとう手に入れた。あの噂の「人生が変わるメガネ」とやらを。 事のはじまりはこうだ。 ある時私は、初老の患者さんにこう言った。 「私も目が悪くなった・・。コンタクトをしていたら遠くは見えるけれど、近くを見る時には老眼鏡がいる。裸…

東洋医学各論1(気の作用:波動)

小樽の春は遠い。 そう感じた、今年の2月の極寒の日のことだ。 私は、灯油が入ったポリタンクから携帯ストーブに灯油を入れようとして、手動のポンプを取り出した。そして、にぎりこぶし大の赤色の部分(材質はポリエチレン)をギュッと握りつぶして、空気…

東洋医学概論2(Wonder な世界)

The Sense of Wonder。 (自然の不思議に息をのむ感性) この言葉を知ったのは、鍼灸師になりたての頃だったと思う。 ふ〜ん。。とやり過ごしていた私だが、 その後の臨床を通して、人体の不思議に驚かされ続けることになる。 お医者さん達はいう。 「ここまで…