“ 伽藍堂 Garaando ”

〜 さかうしけいこ が語る東洋医学の世界 〜

緊急告知 セルフケア2 ヒエトリ道

こんな夏は、はじめてだ。

多くの患者さん達が、こう語る今年の猛暑(2018年@東京)。

 

皆様のお身体を診せていただいている私は、日ごと危機感がつのる。

この夏の患者さん達の身体の固まり具合は、ハンパないから。

まるで石像のよう。。

そして今の期間をどう過ごしたかの結果が、秋にやってくる。

(身体は数ヶ月遅れて症状が表面化します。大病をなさった方の多くは、「発病する半年前くらいからモーレツに疲れていた」とおっしゃいます。)

 

そこで緊急告知。

いま一度 “冷えは万病のもと” と冷えの怖さを知り、“ 何はなくとも冷えとり(以下、「ヒエトリ」と表記する)” を合言葉に対策をねっていただきたい。

 

まず冷えはなぜ悪いのか。

東洋医学において、「人体の健康とは、よどみなく 気 が流れていること」と定義される。

つまり、「流れ」こそ生命体の真髄。

その流れを阻むもの、それが冷えなのだ。

冷えると生命活動が縮こまって固まりだし、流れがなくなる。

また固まった箇所ができることで、スムーズだった大きな流れをさらに阻む。

こうして全体の生命活動が停滞へと向かう。

それゆえ低体温が

あらゆるガンを

アトピーなどのアレルギーやリウマチ等の膠原病といった免疫不全を

婦人科系の病気を

糖尿病といった代謝系の病いを

ギックリ腰や膝痛、五十肩といった外科的な痛みを

躁鬱病

不眠症や体調不良といった自律神経失調症

そして認知症をも

誘発するのである。

この状態を打開し、流れをつくりだすために必要なもの、それこそが熱なのだ。

よって、体温が高く頭寒足熱の状態が、ヒエトリのめざすべき理想形といえる。

  

そして現状のチェック!

冷房のきいた場所で冷たい物(スムージーやアイスコーヒーなど)を飲み、内側からも外側からも身体を冷やすと

→ 感覚が鈍って冷えてると感じない

→ 身体がすっかり固まっているのも気がつかない

→ さらに冷たい物を飲み、シャワーで汗を流し、冷房をつけて睡眠をとる

→ 足がだるい、身体全体が重い、頭が痛い、寝ると足が熱くて、ほてる*

→ 自律神経がダメ(例:睡眠が浅く疲れがとれない、食欲がなく胃腸の働きが悪い)

→ 暑いのか寒いのかわからないながらも、裸足ですごす

→ ますます身体が冷えて、固まる

→ ますます無感覚になる

 (*:ほてりは冷えの極まった状態。陰極まりて陽となったもの)

 

あなたは、この無限ループにはまっていないだろうか。

このような流れを断ち切るのに最も効果的な方法が、ヒエトリなのだ。

 

ここに効果的なヒエトリ方法のいくつかを紹介させていただくことにした。

 

〈お風呂〉

まずはなんといってもお風呂。

シャワーですませていないだろうか。

シャワーだと汗を流して爽快感はあるのだが、冷えは全くとれていない。

朝風呂の人も多いが、その日の冷えはその日のうちにとるべきで、夜の入浴がオススメ。1日の疲れもとれ、睡眠の質もグッと向上する。

 

暑いと身体を冷やすために汗が出るが、お風呂に入って出る汗は、毛穴が開いて身体の中にある毒素(重金属、放射能、ストレスなどのメンタルからくる気の滞り)を排出してくれる。

 

入浴のポイントは、身体の中まで、芯まで温まること。

ただし入浴前の水分補給は忘れずに!

 

大根を強火で煮ると、外側はすきとおった色になるのに、中は白色のままで硬い芯がのこる。

 

弱火でコトコト煮込むと、全体がすきとおった色に変わり、中まで火がはいり、ほっこりする。

 

温度の高いお風呂(40度以上)に浸かると、肺に熱がはいり熱く感じて温まった気になるが、実は身体の中心まで熱がいきわたっていない。

 

弱火でコトコトをイメージして、ぬるめのお風呂(約37〜38℃、適温は個人差があるので調整を!)に入り、温まって透きとおったダイコンのような身体をめざしていただきたい。

半身浴が好ましく、時々肩や首までドップリつかる。

入浴後はくつ下をはいて、足先の温かさをなるべくキープする。

 

またお風呂は入りたいけど、その後の掃除がね。。と渋るあなたには、銭湯がオススメ(大人460円。10枚綴り回数券だと1回430円@東京)。

週に1回でも大きなお風呂で、たまった冷えをぬぐいさり、浮き世の疲れも一掃できたら、なおよし!

 

〈サウナ〉

この時期のサウナは、かなり消耗するのでオススメできない。

ま、ひとたび玄関ドアを開けたなら、そこは無料のサウナ。

わざわざ有料サウナに行くこともないと思うのだが、それでもどうしても入りたいというサウナラブ族は、サウナ後に程よい温度の場所で十分な休息とエネルギー充填(塩分やビタミン、ミネラルなどの補給)が必須だ。

水風呂とサウナのループを楽しむ方は、長く水風呂に入ると身体が冷えきるので、十分にご注意を!

(補足 : もともと温冷浴は、西式医学の祖、西勝造氏が提唱したもので、基本は1分ずつ4セットの交互浴+最後の冷浴。これは自律神経の切り替えスイッチを強化し、皮膚の働きを活性化させるのをめざしたもの。)

 

〈足湯〉

お風呂も銭湯もダメなら、足湯。

お風呂場に足首、できればふくらはぎまでお湯を入れて、足をつける。上質のラベンダーオイルを数滴たらせば、深い眠りが待っている。

ながらスマホ(オススメしたくはないが!)でもできる、あなたを健康へと導く20分。

お湯が冷めてきたらさし湯をして、上半身も汗ばむくらいが目安。

これも弱火でコトコトと。

 

〈入浴・足湯後の水分の取り方〉

身体が温まり、お風呂あがりに冷えたビールをグイッといきたいところだが、ここはグッとガマンして、氷をひとかけら口に含む。

舌の上でトロケル氷は、ほどよいノドゴシをあなたに与え、喉の乾きを潤してくれるはず。

せっかく身体を温めたのに、冷えた飲み物をグイグイ飲むと、ああ!悲しいかな、またも無限ループに逆戻り!

 

〈冷房の中での睡眠〉

長ズボン、長袖の薄手のパジャマなどが理想的。

なぜなら、冷えは関節から入り込むから。

(スーパーなどの冷凍食品などの売り場に行くと、肘が痛くなる経験はないでしょうか。あれは、短時間でも冷えが関節に入りこむからです。)

よって肘・肩・膝は、薄手でもいいので1枚の布で保護するのがよい。

東洋医学の見方:起きて活動している間は、身体の表面に“ 衛気 [えき] ”とよばれる気をまとっています。これは、寒さやウイルスといった外からの侵入者に対して、防衛する働きがあります。ただし、寝てしまうとこの衛気は身体の内側にはいってしまい、外敵からの攻撃に弱くなるのです。寝る時に布団をかけて寝るのは、このためです。)

また昨今は首を冷やすのを奨励するCMなどもあるが、あまりオススメできない。

(首を冷やしすぎて自律神経がおかしくなった症例が、私にも数多くあります。自律神経が通る首から背骨に冷えがはいると内蔵の機能低下を招きます。)

冷房の風が首まわりに直接当たるときは、日本てぬぐいやガーゼ等の薄手のてぬぐいを巻いて防御すると、夏風邪の予防となる。

洗った髪は、乾くのを待ってから寝る。

 

〈日中の冷房下での注意〉

ミュールやサンダルなど素足で外出するときは、靴下を持ち歩き、喫茶店など長時間冷房下で過ごす時は、はく。

慢性的に頭痛に悩んでいる方のほとんどは足が冷えているので、このケアを忘れずに!

スカーフやショールなども常に携帯し、首、肩、肘、膝に冷えが入らないように注意する。

飲み物は、温かいものをとり、氷入りのキンキンに冷えたものは控える。せめて常温の飲み物を。

 

上記のような対策をはじめられたなら、ご自分の身体感覚が蘇り、新しい気づきも生まれるのかもしれない。

 

これほどの酷暑。

対処法をとおして自己の冷えに気づき、身体を見直すチャンスに是非ともかえていただきたい。

相手に不足はないはずだから。

 

《後記》

 5本指靴下、足湯はとうに衆知となり、最近ではシルクソックスの重ねはきや腹巻きもトレンドとなりつつあります。

コンビニでは常温の水も販売されるようになりました。

ヒエトリに対する意識は、高まりつつあるといえます。

しかしその一方で、ローフードやスムージーもはやり、夏になると若い女性達は、圧倒的にサンダルやミュールを履いています。

 

身体の健康を保つ上でもっとも大事なことは、冷やさないこと。

冷えを取り除いてはじめて、食事療法といったさまざまな療法が功を奏すのです。

大病を患って私の処へいらした患者さん達の多くは、お風呂に滅多にはいらずシャワーだけだったとおっしゃいます。

コマメにヒエトリができていたなら、大病にならなかったかもしれない。

そう思う度、徹底してヒエトリの大事さを皆様にお伝えしたいと思っていました。

いつか「ヒエトリ道」として、お伝えしたいと。

 

この自然環境の厳しくなる一方の昨今、今一度ヒエトリの重要性を考え、是非とも実践してみてください。  

 

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パタゴニアフィヨルドにて約200万年前の氷河を撮影

 

 

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garaando.hatenablog.com