“ 伽藍堂 Garaando ”

〜 さかうしけいこ が語る東洋医学の世界 〜

東洋医学各論15 水は1日2リットル?!

「日が暮れるのが早くなりましたね」患者さんの言葉に、私は薄暗くなった治療室の時計を見た。まだ5時なのに、そろそろ夜モードだ。熱と光のビームで野蛮なまでにアスファルトを照らしつづけた太陽を時に疎ましくも思えた夏。その夏がゆっくりと終わりを告…

身体感覚を開く5  曖昧な感覚

私たちは、目・耳・鼻・舌・皮膚を通して世界を認識している。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の、いわゆる五感と呼ばれる感覚器をツールにして。この五感の中で、最も保守的といわれているのが味覚だという。子供の頃の好き嫌いは、そのまま大人になっても続…

身体感覚を開く4 変化

時代は、そのスピードをあげて進みだした。こう感じている私に、会社を経営している患者さんは、ふとおっしゃった。 「組織は時代の流れについていけない。時代はいつも、思う以上に変化している。」 さらに「大きな組織になればなるほど、それを維持してい…

雑考4 養生について

東洋医学の時代は来るのだろうか? 前回のブログを書いていたら、東洋医学って本当にすばらしいなぁと思えてきた。そしてその真髄は一般のみなさまに浸透しているのだろうかと考えこんでしまった。 私が鍼灸学校へ通っていた頃はバブルの絶頂期。「これから…

東洋医学概論7 中医学と東洋医学

漢字は、モノの形をまねて作られた象形文字だという。 「中」という文字は、放たれた矢が当たるべき的(マト)をかたどって生まれた。真ん中を射抜くためのマトを表す。訓読みでは「アたる」と発音する。(注:旗竿の吹流しを描いた象形文字という説が主流)…

身体感覚を開く3  身体と街づくり

治療家の私は、患者さん達の気づきにハッとさせられることがある。 今回は、ずっと心に残っている会話のひとつを取りあげてみたい。 彼女は、建物の保存や街づくりといった多岐にわたる活動の先駆的なリーダーで、私の治療を受けていただいてから、かれこれ…

雑考3 死に至る5つの段階(エリザベス・キューブラー・ロス) 

こんな世界になろうとは、夢にも思わなかった。 コロナウイルス、戦争、原発占拠、地震。。 次々に押しよせる現実が強烈すぎて、私の想像力が追いつかない。まるでディストピア小説のただ中に投げ込まれてしまった感じだ。悪い冗談であってほしい。 そのうえ…

繋がりあう世界3 間(マ)

人生は出会いに満ちている。 昨年私は1冊の本と出会った。タイトルは「紛争地の看護師」、作者は白川優子さん。 彼女は7歳の頃に見たテレビ番組で「国境なき医師団」の存在を知り、その医師達に憧れのような気持ちを抱いたという。中学・高校時代の彼女は…

勝手に陰陽論18 気・血・津液(き・けつ・しんえき)

雪、雪、雪。 「小樽の街角でよく見かけるオンコの木。その赤い実がタワワになると雪の多い年になる」とか、 「猛暑の夏の後には大雪の冬が来る」とか、チマタでは言われていた。 そのとおり、ひさびさに冬の厳しさを噛みしめた今年の幕開けだった。 そして…

東洋医学各論14 五行論からみる臓器と感情

治療家の私には、患者さん達の様々なエピソードを聞かせていただくという、ありがたい特権がある。その中のひとつを紹介したい。 あの当時その方は82歳。横浜からご自分の運転で私の治療所へ来てくださるダンディで陽気なご老人だ。ある時、親友のお通夜へ行…

東洋医学各論13  五行からみる食養生と薬膳

色彩豊かな秋が深まって冬に向かっていくと、外界の景色は次第に色褪せていく。こんな季節にあって、橙色に輝く柿を見かけるとなんとなく嬉しい。枯れていく風景の中で力ある暖色系のオレンジ色は、元気を与えてくれる。 秋はやっぱり柿でしょ! 柿くへば鐘…

東洋医学概論6 陰陽五行論

猛暑に見舞われた今年の夏の小樽。秋の紅葉は今年もまた綺麗だろうと期待した。夏の暑さが厳しい年に、木々は綺麗に紅葉すると記憶していたからだ。しかし我が家近隣の紅葉の美しさはイマイチだ。そこで紅葉が美しくなる条件を調べてみた。 夏に十分な日照時…

東洋医学各論12 脾

稲が実って田んぼ一面が黄金色に染まる季節がやってきた。先日、空高く晴れわたった青空のもとで、黄金に輝く稲穂の大地を見た。黄色い大地。そんな言葉が頭に浮かんだ。 今回は、黄色や土に象徴される人体の臓器、五臓六腑の五臓(肝・心・脾・肺・腎)のう…

身体感覚を開く2 響(ひび)き

私が初めて印象派の画家クロード・モネの睡蓮を間近に見たのは、午後の日差しが心地よい、晴れわたった秋の日だった。そこはニューヨーク近代美術館、通称MoMA。 話は、20年以上前にさかのぼる。当時の私は、通っていたアメリカのヒーリングスクールの授業を…

繋がりあう世界2 発酵と酵素

築93年を経た木造の我が家が、私の小樽での治療所である。さてこの家を掃除してみると、これがもう笑っちゃうほどに小さき生物達の足跡をたずねる旅になる。 いたるところに蜘蛛の巣あり!四隅はもちろんのこと、戸棚の表面にもうっすらと。ちょっと高みを見…

勝手に陰陽論17  見方によって世界は変わる

ファンというのは、なんてありがたいのだろう。 患者さん達の話をきく度に、こう思ってきた。そしてその熱狂ブリは、いつも私を幸せにさせてくれる。 モータースポーツの F1世界選手権を欧州へ観にいくためだけに働いている気がする。 羽生結弦選手(ゆず君…

勝手に陰陽論16  気 (キ)と 物(モノ)

私の好きなフレーズのひとつに「 気 動じて 物 生ず」というのがある。 気が動けば自ずから物が形づくられる、という意味だ。 今回はこの 気(キ)と 物(モノ)との関係を人体の五臓六腑の五臓に当てはめて、陰陽論で考えてみたい。 陰陽論についてはこちら…

東洋医学各論11  経絡(けいらく)

ふと幼い頃の風景が浮かんでくることがある。 先日も懐かしの遊び、炙(あぶ)り出しを思い出した。みかんの絞り汁で紙の上に絵を書いて乾かす。火で炙ると滲(にじ)みながらも秘密の絵がぼんやりと浮かびあがる、炙り出しを。 こんな事を思い出したのも、…

雑考2 時について

「ベランダに転がっていた球根を植えてみたの」と友人は、2つの小さな鉢を見せてくれた。その友人を訪ねる度に、それぞれの鉢からは芽が出て背丈が少しづつ伸びていった。とうとう1つはヒヤシンスの可憐な白い花が咲いた。もう1つは背丈も小さくいまだ花…

東洋医学各論10  衛気(えき)

ここ数年の私は、滅多にテレビを見ない。 時折テレビで話題の政治家たちを拝見する機会があると、その内容よりも気になることがある。 お化粧を落としたこの知事の素顔は、ホントはどんな?? 顔色の悪い老齢のこの方は、本当にツラの皮が厚いの??皮膚も厚…

身体感覚を開く 皮膚

私の好きな映画のひとつに、個性派女優ウーピー・ゴールドバーグ主演の「天使にラブソングを」のコメディ作品がある。この映画の中で修道女になりすました彼女が、爪をたてて黒板を引っ掻き、その強烈な不快音によって騒がしい生徒達を黙らせるシーンが冒頭…

東洋医学各論9  病気の原因と身体感覚

北国では、一夜にしてその景色が変わる朝が来る。 吐く息がほのかな煙のように拡がる朝。カーテンを開けてみると、葉っぱを落としきった裸ん坊の木々がおりなす、昨日までの乾いた土気色の風景が、発光するような雪色に染められる。 とうとう冬だ。また冬の…

東洋医学各論8 肺

憂いあふれる和風美人画の作者、竹下夢二。 彼の描く女性像は、色白の瓜実顔で髪の毛が多めの痩せ型。そして独特の情感に溢れている。 背丈はスラッとしているから声帯も長いはず。それゆえ声は低くたぶん小さい。このようなタイプの女性がもし病いを患うと…

繋がりあう世界 腰痛

テレワークの推奨により、在宅で仕事をする人が増えた。 ある患者さんは、会社での自在に動く座り心地の良いイスではなく、自宅の小さなダイニングテーブルとイスで仕事をしなければならなくなった。 彼女はかなりのハードワークをこなしていて、慢性的に腰…

東洋医学各論7 心(シン)

眠れぬ夜。時計の針は、その速度を異様に落として刻みこむ。 しかも自殺は明け方に多い。 自分の痛みとは係りなく、陽がまた昇り、現実世界が再び立ちあがってくる頃に。 街並を一斉に照らしはじめた太陽の光が、身動きできずに暗闇に浸っている心を打ち砕く…

勝手に陰陽論15 陰極まりて陽、陽極まりて陰

街を移動していると気がつく事がある。 「足先がドアに挟まれないように注意」。電車内でドアに張られていた標語が目に止まった。 その上には「戸袋に注意」という表示がある。実際に子供が腕を挟まれているのを見たことがあるので、危険なのだなぁと思うよ…

東洋医学各論6 津液(しんえき)

至福の時といえば、みな様にはどんな経験がおありだろうか。 私にとってのそれは、メキシコへ旅した時でのこと。 マングローブの林が生い茂る水面。ひとたび何かを浸してみれば、どんな物でも中身まで透き通ってしまいそうな、そんな限りなく透明な薄いグリ…

東洋医学概論5 虚実

「あなたを花にたとえて、その絵を書きなさい。」 これは、私が入学したいと思った学校の申請書に書かれていた一文である。エネルギーワークを学ぶため、日本で8年ほど通った学校の。 困った。。好きな花はいろいろあれど、自分がどんな花かなんて考えたこ…

東洋医学各論5 肝

春になると肝臓が動きだす。 草木が芽吹きだし、小さな蕾が膨らみだすように。 冬眠していた動物たちが目覚めるように。 エネルギーを貯蔵する性質を持ち、冬に活躍する腎。その腎から、伸びやかに拡がる力を持つ肝へとバトンが渡された。 季節のめぐりに呼…

雑考

小学生か中学生の頃に、考えていたことがある。 私が育った小樽の街では、市内の一定の区域内に住んでいる子供達が同じ小学校に通い、そこでクラス分けされる。小学校は確か1学年5クラス。1クラスでは男子が女子より少し人数が多い。私の学年だけではなく…